10年飼っていたうさぎが死んだ。

 昨日、飼っていたうさぎが死んだ。

 うさぎとの思い出をどこかに書いておきたくて日記を作った。

 

 

 先週、後ろ足の様子がおかしかったので動物病院に連れて行った。

 筋肉の老化で足が畳みづらくなっていたそうだ。体重もかなり減っていた。点滴をすればもう少し長生きするかもしれないが、点滴のショックで死亡するリスクもあると言われた。

 よたよた歩きのうさぎを無理に延命する必要もないと思い、そのまま帰宅した。

 

 最近のうさぎは横たわっている時間が多く、「今日も息をしているな」と上下するお腹を見て確認していた。

 昨日、息子を保育園に迎えに行く前には生きていた。帰宅後に夕食の支度をし、食べさせ、バタバタしている間に死んでしまったようだった。気づいた時には硬くなり始めていた。前足をぴんと伸ばし、後ろ足を少し曲げた姿で横たわっていた。

 

 

 1代目のうさぎは飼ってすぐに死んでしまった。ドワーフ系の茶色いうさぎで、1ヶ月も持たなかったと思う。

 最期の日は、小屋でぐったりとしているのを見つけて母に泣きついた。慌ただしい時間でいらだっていた母だったが、動物病院へと車を出してくれた。動物病院に付く前に、膝の上に抱えた段ボールの中で、ぱたりと倒れるように死んだ。

 行く当てを失った車で、「買ったお店に行ってみる?」という母の言葉で、うさぎを買ったホームセンターに向かった。今思えば当然のことながら、ホームセンターのペットコーナーでは「何も対応はできない。死んだ原因が知りたいのであれば、動物病院で調べてもらったらどうか?」と言われた。

 最初は忙しそうに聞く耳を持ってくれなかった母が、段々と優しくなり、慰めてくれたのが記憶に残っている。

 

 昨日死んだ、2代目のうさぎを飼い始めたのは卯年の2011年4月17日だった。名前をシイナくんにしようか迷ったので覚えている。

 ホームセンターのペットコーナーでは、ドワーフ系のたくさんの子うさぎが同じケースの中でくっついていたけれど、そのうさぎは一匹だけ別のケージに入れられていた。値段は覚えていないけれど、「ライオンラビット」と書かれていたと思う。アンゴラ系の毛の長いうさぎだった。

 

 

 うさぎを飼い始めてから、こたつの毛布やラグが白い毛まみれになるようになった。下手な生地の洋服を買うと大変で、外出前に全身をコロコロする羽目になった。

 ブラッシングをすると大量に毛が取れた。集めたら分身が作れそうだと思っていたけれど、猫の毛玉を丸めてとっておくと中から…………という話を聞いたことがあったのでやめておいた。

 

 小屋だけでは狭そうだったので、実家にいた頃は入り口のドアを外し、床にすのこを敷いたペットサークルと連結して庭付きにした。ぴょんぴょん出入りするたびに小屋のプラスチックの床が跳ねてガシャンガシャン鳴り響き、隣の部屋の弟から「姉がいないときも音がして怖い」とクレームが入った。

 

 うさんぽに憧れてハーネスを買ってみたこともあった。うまく付けられず、すぐに抜けられてしまったので断念した。

 うさぎも私も爪切りが苦手で、いつも長めになるまで切れなかった。元気なころは、よく部屋に敷いたラグを掘ろうとしていた。

 

 うさぎとは何回か引っ越しをした。

 1回目の引っ越しのときに、思い切ってKAWAIのコンフォートに買い替えた。ケージに設置したロフトはなかなか活用してもらえず、そのうち登れないくらい大きくなったので諦めて外した。木造アパートで、スタンピングの音が思いのほか響いてドキドキしたので、すぐに引っ越した。

 

 うさぎは結構大きくなって、Google Photoには猫や犬だと認識されていた。

 スマホの待ち受けはずっとうさぎだった。夫の待ち受けがデフォルトだったので、一緒に住み始めてからうさぎの写真に変えた。

 

 2周目の豆苗はうさぎ用だった。一本ずつあげると全部食べるけれど、苗ごと目の前に置くと先端だけを食べて口からぽろぽろこぼしていた。

 にんじんやりんごを手からあげると、引っ張って口元に確保して遠くに持って行って食べていた。

 首を傾けて給水器から水を飲むので、高さが悪いのかと調整したら水の飲みが悪くなって元に戻した。

 体調を崩してぐったりしていたときは、ペットボトルの蓋に水を入れて口元に持って行ったりした。水を飲んでくれるとほっとした。

 

 うさぎはフローリングが嫌いで、実家にいたときから敷いていたラグから外に出なかった。脱走の心配がなかったので、今の家に引っ越してからは外出中は放し飼いしていた。コロナの影響で私が在宅勤務になり、自由時間が減ったから老化が早まったのではないかと少し思っている。

 ケージから出ると、お気に入りの場所でばたんと倒れて休憩していた。

 放し飼い状態のときも、来客があると自分からケージに戻って隅の方で丸まって警戒していた。掃除機も同じくらい警戒していた。

 

 夜中は小屋を開放していたので、朝起きたらうさぎを餌で釣って小屋に戻して、ラグ中にちらばったコロコロしたうんちを片付けるのが日課だった。

 よくマウンティングされていたビーズクッションは大分汚れていたので、息子が生まれたときに捨てた。このラグにもうさぎの色んな汁が染み込んでいるので、新しいものを買って処分しようと思う。

 

 

 今日は有休をとって実家の裏庭にうさぎを埋めてきた。出かける前、夫がうさぎを撫でていた。

 ビニール袋に入れるのが忍びなくて、タオルでくるんでペットキャリーに入れて連れて行った。少し腐臭がしたので、人混みから離れて移動するようにした。

 実家の裏庭でペットキャリーから取り出すと、敷いていたタオルが濡れていた。

 残っていた牧草とペットフードを敷き、一人暮らしを始めたときに買ったフェイスタオルを被せて埋めた。

 

 死体が目の前にあるときよりも、空のケージが目の前にある方が悲しくなるものだなあと思った。

 これから、ケージを粗大ごみに出す手続きをする。